海軍ピーコート(Pコート)とは?
ピーコート(Pコート)とは海軍用の防寒ジャケット
みなさん、こんにちは!
今回のテーマはピーコート(Pコート)。
ピーコート(Pコート)とは、厚手のウール地のショートコートのことです。
冬におなじみの定番コートですね。
とはいえ、その歴史的な由来や、ボタン数など本来のデザインを知っている人は意外と少ないのではないでしょうか。
ピーコート(Pコート)は、実は、海軍の防寒ジャケットに由来があります。
19世紀末から、イギリス海軍やアメリカ海軍によって、艦上用の防寒着として着用されていました。
海軍ピーコート(Pコート)の名前の意味・由来とは
ピーコート(Pコート)の名前の由来には、2つの説があります。
1つは、オランダ語で「毛織物のコート」という意味を持つ” pij jekker”の頭文字からとったという説。
もう1つは、英語で、船を停めておくための「錨の爪」を意味する”pea”に由来するという説です。
説は2つあるとはいえ、ピーコートの素材はメルトンウール、用途は船乗りなど水兵用。どちらの説でもあてはまりそうですね。
ピーコート(Pコート)の色はネイビーが一般的です。
陸軍が保護色として迷彩柄を採用したのと同じように、海軍は海の色の保護色を採用した、ということですね。
基礎的な知識についてはこれくらいにして、次からは、アメリカ海軍ピーコートの歴史的変遷をご紹介します。
ヴィンテージのピーコートを購入する際の参考にもなるかと思うので、ぜひ見ていってくだい!
1910年代〜1940年代までの海軍ピーコート(Pコート)とは?
アメリカ海軍13スターピーコート(1910年代〜1930年代)|歴史的な幻のヴィンテージジャケット!
まずは、1910年代から1930年代までのアメリカ海軍ピーコート(Pコート)初期のモデルから。
ボタンは10個、ポケットは4つです。
首元にはチンストラップ付き。
素材はこの時代から一貫してメルトンウールが一般的で、非常に肉厚な感触です。
ポケットの内側には、綾織のウールが使用されています。
そして、この時代のピーコートに最も特徴的なのが、「13スターボタン」。
この星の数は、1776年にアメリカが独立宣言した時の州の数を意味しています。
第一次世界大戦時の歴史ある13スターピーコートは非常に希少で、ヴィンテージとして今ではかなりの価値がついています。
アメリカ海軍10ボタンピーコート(1930年代〜1940年代)|10ボタン・チンストラップはこの時代まで
1930年代から1940年代になってくると、海軍ピーコートに13スターのボタンは使われなくなり、錨マークのみがついたボタンにかわります。
ポケットも2つになります。
とはいえボタンは変わらず10個で、チンストラップも付いています。
40年代からのピーコート(Pコート)に特徴的なのは、ポケット内部の生地がコーデュロイになっていることです。
コーディロイ生地が内部に使われたポケットは、40年代に始まり、60年代後半まで続いたそうです。
1950年代以降の海軍ピーコート(Pコート)とは?
アメリカ海軍8ボタンピーコート(1950年代〜)|これまでよりシンプルなつくりに
1950年代以降のアメリカ海軍ピーコートになると、10個だったボタンが8個に減り、これまで首元についていたチンストラップも廃止されます。
60年代後半までのものであれば、ポケット内部の素材は、コーデュロイです。
50年代以前とは違って全体的に簡素な作りになりましたが、基本的なデザインやメルトンウールの素材は、初期の頃から変わっていません。
では、ここまで見てきたピーコート(Pコート)の歴史的変遷を振り返ってみましょう。
アメリカ海軍ピーコート(Pコート)の歴史的変遷は、かなり大まかに2つに分けることができます。
それは、1950年代以前と、1950年代以降という分け方です。
ざっくりといえば、1950年代以前は、ボタンが10個で、チンストラップ付き。
1950年代以降は、ボタンが8つで、チンストラップなしです。
ヴィンテージのクラシカルな雰囲気を好む方は、40年代以前の10ボタンのピーコート(Pコート)を探してみるのがおすすめです!
海軍ピーコート(Pコート)の豆知識
ちなみに、海軍ピーコート(Pコート)のボタンは2列のダブルブレストになっていますが、それはどうしてかご存知ですか?
ピーコートは、左右どちらを前にしてもボタンを掛けることができます。
これは、風向きによってどちらを前にするか変えることで、冷たい空気を防ぐことができるようにするためです。
厳しい気候条件下の船の甲板などで、寒さを緩和するためのものだったんですね。
さらに、斜めに切り込みが入った大きなポケットや、大きなボタンにも意味があります。
これらのデザインは、手袋をしたまま活動できることを前提に考えられたものです。
ポケットは手袋をしたまま手を突っ込むことができるように、ボタンは手袋をしていても着脱可能なように作られています。
海軍ピーコート(Pコート)まとめ
ここまで、海軍ピーコート(Pコート)について、その由来や歴史的変遷をご紹介してきましたが、いかがでしたか?
海軍ピーコートは、ボタンの数やちょっとしたデザインなど、時代によって少しずつ違ってくることがお分かりいただけたのではないかと思います。
ヴィンテージショップに行った時など、ぜひこの知識を活用してみてくださいね!
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